【jyogar教授のアモリ通信377】  国土学と日本の再興       

◎◎さん(^^♪

こんにちは。

SILアカデミー 1on1 オンライン顧問
jyogar教授の福島清隆です。【専門は物流です】

本日のテーマは「国土学と日本の再興」です。


「国土学」が解き明かす日本の再興

ー-紛争死史観と災害死史観から

輝く日本を取り戻すには
   日本人であることをしっかり認識する
   ところから始めるしかない。

大石久和

経営科学出版社  1700円+税


大石久和
1945年兵庫県出身。京都大学大学院工学研究科
修士課程終了後、70年建設省(現国土交通省)
入省。道路局長、国土交通省技監などを歴任。
2004年退官後、国土技術センター理事長、土木
学会会長などを経て、全日本建設技術協会会長
国土学総合研究所所長(オリエンタルコンサル
タンツ最高顧問)を兼務


第一部 ユーラシアの「紛争死史観」と日本の
    「災害死史観」

第一章 国土学ー-世界の「外」に立つ日本
第二章 「共」の発見ー-ヨーロッパ人との
    分岐点

第二部 世界と異なる日本人の感覚と思考
第三章 特異な日本人ー-世界と異なる感覚と
    思考ー---
第四章 ルールを変えられない国
    ー-刷り込みに拘束される日本人ー-
第五章 日本人の歴史観
    ー-「流される過去」と
            「積み重なる過去」
第六章 言語感覚と日本語の乱れ
    ー-母語をないがしろにする国は亡ぶ

第三部 国土学が問う現代日本の危機と再出発
    への道
第七章 1995年というタ-ニングポイント  
第八章 誤りの財政破綻論
    ー-日本を破壊する財政再建至上主義
第九章 日本の再出発
    ー-国土が育んだ日本人本来の姿


(私見)
本書も可能な限り多くの内容をご紹介したいく
らいに、学ぶべき点が溢れているように私は
感じてます。が、早い話、内容が難しい。

いつもの手抜きで、ごくごく一部を転載させて
いただきます (💦)


(はじめに)
       【前略】
 紛争死を繰り返し経験してきたユーラシア人が
得たのは「紛争死史観」であり、災害で命を失っ
ていったわれわれ日本人が獲得したのが
「災害死史観」であった。この観点から種々の
考察を加えたものが本書である。


第二部 世界と異なる日本人の感覚と思考
第三章 特異な日本人ー-世界と異なる感覚と
    思考ー---

● 悲惨な場面を直視できない日本人

わが国では、事件や事故があると、報道カメラ
と被写体の間にブルーシートを立てて、悲惨な場
面を見えないようにする、といったような事例が
極めて多くある。殺人事件の現場や災害現場でも
亡くなった人や大けがなどをした人を運び出すよ
うな局面では、必ずといっていいほど、カメラと
現場の間にブルーシートを持った人が出てくる。

東日本大震災の時、あれだけ人手が足りない時
ですら、ブルーシートを持ってきた場面があった
ので唖然とした記憶がある。また、秋葉原で歩行
者天国が実施されていた時に、暴走運転によって
多くの方が亡くなった際も、事故で亡くなった人
や大ケガをした人がそのままであったのは一瞬の
ことであり、すぐにブルーシートで囲まれてしま
った。

2015年にヨーロッパでは、ある事件をきっかけ
に突然来たアフリカからの移民を受け入れようと
いう動きになった。移民や避難民の受け入れに関
して厳しい態勢をとる国が多い中で、一瞬、その
扉が開いたかのようになった時期があった。その
理由は、トルコの海岸に三歳くらいのクルド人の
子どもがうつぶせになって死んでいた写真がヨー
ロッパ中に流れたからである。こんなに小さな子
どもが、ヨーロッパを目指して避難してきたのに
かわいそうにもこの砂浜で死んでしまった。なん
ということが起こったのだと人々の心を打ったの
であった。

しかし、この写真は、日本人はほとんど誰も見
ていないのである。日本のメディアは、世界中に
流れたこの写真を報道しなかったのだ。したがっ
て、この突然のヨーロッパでの変化は、世界の中
で日本人だけが理解できなかったのである。

これは、ブルーシートの論理と同じであり、小
さな子どもが海岸の波打ち際で死んでいるという
ような、悲惨な場面は報道することができないと
いうのが、われわれの報道機関の姿勢であり、読
者や視聴者もその姿勢を支持してきたから、この
ような状態になっているのである。日本人だけが
ヨーロッパが突然、移民に関して寛容になったの
は、何が起こったからなのかが理解できなかった
のだ。日本のメディアで、この写真をきちんと載
せたのは、私の知る限り、日本版『ニューズウィ
ーク』のみであった。

第九章 日本の再出発
    ー-国土が育んだ日本人本来の姿

② 豊かな感性が日本を再生する

日本語は感性や思いを表現し、それを相手と交
流するために磨かれてきた言語であり、論理を貫
くための言語ではないことはすでに説明してきた

紛争に明け暮れたユーラシア・ヨーロッパでは
思考に合理性、論理性、実証性などを欠けば直ち
に死に至る世界であったから、彼らの言語は論理
を構成するのに適している。
 
 言語がそのようであるということは、思考の方
法がそうなっていることを示している。論理・合
理の人々と感性・非論理のわれわれとの違いが生
まれている。

では、論理的でない日本人は新たな構想や発想
を持つことができないかというとそうではないの
だ。大化学者で現在中部大学先端研究センター長
を務める山本尚氏は「日本人は論理的でなくてい
い」との書物を著して、海外でもノーベル賞級の
研究者は「フィーリング型」が多いと述べている

まさにその理由のとおりで、画期を成すような
新たな発想は、論理から生まれるものというより
は「驚き」や「感動」という感性から生まれるも
のだと考える。

「なんでこんなことになっているのだ!」と驚く
ことができる能力が発想を生む。最先端の発見や
発明は鋭いとんがった感性の持ち主でないと無理
なのだ。偏差値秀才とは結局平均的秀才のことで
あって、万遍なく点数を稼げるのが彼らなのだが
それでは最先端には届かない。

四季の変化に敏感で、風のちょっとした変化に
心が動き、月はというと満月には叢雲が必要と感
じるし、微妙に欠けた月の方を好む。日本の生け
花を学んだ中国人や韓国人はシメントリーに生け
てしまい、日本人の非対称な生け花を嫌うという

微妙な揺れはシメントリーの世界にはあまりな
い。この揺れを尊ぶ微妙な感性こそ日本人の日本
人たるところである。揺れの変化に驚きが隠れて
いるのである。

あらゆる宗教を飲み込んでしまい、中国文化も西
洋文化もみんな受け入れて排除することのない寛
容な精神の持ち主である日本人こそ、「驚き力」
の持ち主なのである。所詮、論理的でないわれわ
れは、論理的でないことを嘆くのは止めよう。

歴史の全期間を通じて磨いてきた感性をさらに
磨いて強力な驚き力(感じる力)を獲得していく
ことが、日本の再生、日本人の再興につながるの
である。

ありがたいことに明治の先輩たちは、感性の日
本人が抽象的な論理思考ができる日本語を工夫し
て残してくれた。哲学や論理という言葉や概念を
もたなかったわえrわれが、その言葉とともに、
その概念を自由に使える環境を整備してくれたの
だ。

最も深い思考は母語でなければできないといわ
れる。いくら外国語に堪能な人でもほとんどの思
考は母語で行っている。大きな発見や発明に至る
ための深い思考は豊かな母語可能とするのである
 われわれはその環境に恵まれていることを自覚
したいのである。

だからこそ、安易なカタカナ語やアルファベッ
トの氾濫を嘆いてきたのだ。母語を大切にしない
国に、明るい将来はないのは確実だからである。

数学者の藤原正彦氏が『国家の品格』(新潮新
書)の中で、「『論理』だけでは世界が破綻する
」と書き、それは①論理には限界があること(
論理だけでは本質をついているか判定できない)、
②もっとも重要なことは論理で説明できないこと
だと述べ、どんなに立派な公理系があっても、そ
の中に、正しいか正しくないかを論理的に判定で
きない命題が存在するという、”不完全性定理”
を紹介している。

さらに、③「論理には出発点が必要」だという
のだ。そして出発点は常に仮説であるから、論理
だけでは完結し得ないというのである。そして④
「論理は長くなりえない、長い論理は危うい」と
も述べている。

こう見てみると、長い歴史のほとんどの間、論理
というよりは情緒や感性を磨いてきた日本人が明
治に論理用語を日本語化することに成功して以降
、何とか自然科学の世界でも活躍できたことが理
解できるのである。


あらゆる宗教を飲み込んでしまい、中国文化も西
洋文化もみんな受け入れて排除することのない寛
容な精神の持ち主である日本人こそ、「驚き力」
の持ち主なのである。所詮、論理的でないわれわ
れは、論理的でないことを嘆くのは止めよう。

『論理』だけでは世界が破綻する
①論理には限界があること
②もっとも重要なことは論理で説明できないこと
③「論理には出発点が必要」
④「論理は長くなりえない、長い論理は危うい

こう見てみると、長い歴史のほとんどの間、論理
というよりは情緒や感性を磨いてきた日本人が明
治に論理用語を日本語化することに成功して以降
、何とか自然科学の世界でも活躍できたことが理
解できるのである。


(私見)

大石久和という人物を初めて知りました。
全編を通じて、私には難易度の高い内容だったの
で熟読するには「根性」が必要でした。残念なが
らそういう「根性」はありません。(💦)

しかし、
論理だけでは破綻する。
画期を成すような新たな発想は、論理から生まれ
るものというよりは「驚き」や「感動」という感
性から生まれる。
日本人こそ、「驚き力」の持ち主なのである。

ココだけはしっかり、記憶しておこうと思います

周りに、理屈の通じない物騒な国々に囲まれた日
本ですが、本来、地政学的に恵まれ、多くの自然
災害によって鍛えられた日本独自の精神性が育っ
ていることを幸運と考えることにします。

(そんな悠長な思考パターンで済むものか、当然
不安は付きまといますが・・・)

『豊かな感性が日本を再生する』

信じる者は救われる・・これでいくしかないか

◎◎さんは、「論理だけでは破綻する」、
「日本人こそ『驚き力』の持ち主である」
こういう考え方を御存知だったでしょうか。

ご意見をお聞かせいただければ嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

◎◎さんの幸運な日々を祈念します。

 

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