福島清隆 さん
こんにちは。
キャッシュフローコーチ &
リスクマネージャーの福島清隆です。
本日のテーマは「 天才 田中角栄 」です。
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天才といっても・・・・・
「石原慎太郎 天才」というタイトルの著書
幼冬舎文庫 \500+税
石原慎太郎は「一人称小説」が得意なのだそうです
その彼が、「田中角栄」になりきって、田中角栄の
独白に試みたということでしょうか。
「この歳になって田中角栄の凄さが骨身にしみた」
ーーー 石原慎太郎 ーーー
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石原慎太郎はこの著書を執筆するにあたり、数々の
参考文献に目を通したと思われます。
その彼が本来なら「政敵?」であった田中角栄に成
り切って書いたこの著書は、私には田中角栄の「独
白」という印象です。
それが正確なものか、石原慎太郎によって脚色され
たものか、部分部分で若干、違和感を感じなくもな
いのですが、そのことには深入りしません。
昨年6月14日【アモリ通信113:田中角栄】
では過去最高のコメントをいただきました。
彼が如何に関心の高い人物であるかを思い知らされ
ました。
「石原慎太郎 天才 幼冬舎」は累計100万部
突破の大ベストセラーだそうです。
田中角栄と石原慎太郎とのコラボによる相乗効果も
あることでしょう。
「小説家 石原慎太郎」の文章はひとつひとつが長
くサマリーし難いところが多々あります。
ストレートに転載したのと、私なりに編集したもの
が混在した形式でいくつかの逸話他をご紹介します
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〇 最後の解説から (森 元孝)
田中の場合、父の道楽と母の辛苦。小学校高等科卒
業式で答辞を読んだが、貧しく、上級学校には行け
ず、土方、現場監督、東京に出て住み込み小僧、兵
隊、土建請負業。
そこを会社とし戦中には全国五十社に数えられるよ
うにする。
戦後、代議士となり、自民党重職、重要閣僚を経験
して総理大臣となった。
まさに昭和の立志伝中のひとりである。
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〇 上京の時、母親が言ってくれた3つのこと
「大酒は飲むな。馬は持つな。出来もしないことは
言うな」
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〇 一緒になるとは思っていなかった彼女から約束
させられたこと
「決して出ていけとはいわないこと」
「自分を足蹴(あしげ)にはしないこと」
「将来あなたが成功をして世に出て、皇居の二重橋
を渡るような日があったら必ず自分を一緒に連れ
ていくこと」
そしてそれ以外はどんなことでも耐えますからと。
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〇 造船疑獄に関して
・国家の存亡に関わる問題の処理に政治が強く関与
するのは当たり前のことではないか。
・まして大事なことの頼みごとに、立案者の政党の
有力幹部に二百万などというはした金を持参する
のは世間では当たり前のことで、挨拶に菓子折を
持参するようなものだ。
・そのためにこそ政治という手段があるのではない
か。
・その点では俺は土方までして世の中の底辺を知っ
ているし、体得もしている。それこそが俺の本分
であり、他の連中が持ち得ぬ俺の底力なのだ。
・政治家は物事の先をいち早く読まなければならな
い。
・周りがまだ気付かぬことの可能性をいち早く予知
して先に手を打ってこそ、後でどう謗(そし)ら
れようとそれこそが俺を選んでくれた人たちの負
託に応えられるのだと確信したのだ。
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〇 大蔵大臣に就任した時
「私が田中角栄だ。私の学歴は諸君と大分違って
小学校高等科卒業だ。諸君は日本中の秀才の代表
であり、財政金融の専門家ぞろいだ。
私は素人だがトゲの多い門松を沢山くぐってきて
いささか仕事のコツを知っている。
これから一緒に仕事をするには互いによく知りあ
うことが大切だ。我と思わん者は誰でも大臣室に
来てほしい。何でもいってくれ。
一々上司の許可を得る必要はない。出来ることは
やる。出来ないことはやらない。しかし、すべて
の責任はこの俺が背負うから。以上だ」
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〇 ニクソンとのゴルフの後で
そのせいかどうか昼飯の会場では思いがけぬことが
起こった。
ニクソンが自分の席の隣にいきなり俺を座らせてし
まったのだ。
ニクソンの席順無視で声に出ない動揺が走るのが感
じられて分かった。特に日本側の出席者、外務省の
役人たちはショックだったろう。
彼等にしてみればニクソンと福田を隣り合わせに並
ばせ、福田を佐藤のプリンスと見せることに気を使
っていたに違いないから。
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〇 福田と自分との違い
・所詮人触りの問題なのだ
・日頃さんざん心遣いをしてきたものだ。
特に身近な相手に関わる冠婚葬祭には腐心し手を
尽くしてきた。
・俺に盾ついてのし上がったあの竹下登の父親が死
んだ時には、田中軍団の国会議員の総勢を動員し
て参列させもしたものだ。
・ある皮肉屋の大金持ちのことば。
たとえ見知らぬ者でも、その人間の一生の意味や
価値は傍には計り知れぬものがあるに違いない。
といって町中で葬式に出会ったり死者を運ぶ霊柩
車に出会ったりした時は、必ず立ち止まり帽子を
とって一例するとのこと。
なるほどなと俺は思ったものだ。
ということで、福田に比べ俺の人触りにはかなり
の差があることは知れていたと思う。
それは俺の口から周りにいって回ることではある
まいが、党のトップを選ぶ競争では最後は日頃の
人間関係がものをいって数にまとまるに違いない
戦の結果は最初から知れていると俺は確信してい
た。
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〇 おふくろフメの言葉
「アニに注文なんてござんせんよ。人さまに迷惑か
けちゃならねえ。この気持ちだけだな。
(中略)
総理大臣がなんぼ偉かろうが、そなんなこと関係し
ません。人の恩も忘れちゃならねえ。
はい、苦あれば楽あり、楽あれば苦あり。枯れ木に
咲いた花はいつまでもねえぞ。
みんな定めでございますよ。
政治家なんて喜んでくれる人が7分なら、嫌ってく
る人も3分はある。
それを我慢しなきゃ、人間棺桶に入るまで、いい気
になっちゃいけねえだ。でけえことも程々にだ」と
このおふくろならではの言葉は身にしみたな。
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〇 なぜ中国がアメリカを受けいれたか?
・アメリカの持つ宇宙開発技術による軍事情報への
中国の劣等意識による。
・キッシンジャーからの情報
・中国とソビエトとの国境紛争
・黒竜江省の支流の中にある巨大な中洲を、中国の
国境防衛隊が夜中に侵犯し占拠した。
・これをみてソビエト軍は大挙して反撃しこれを追
い払った。
・その後中国軍は一個師団を投入して再反撃し島を
奪い返した。
・当時ソビエトは事に対処して長大な国境の上に
12個の宇宙衛星を飛ばしていて、同一地点を1
時間ごとに衛星で監視する態勢をとっていた。
・深い霧のある夜、密かに膨大な数の戦車を動員し
て島を取り囲み、翌朝一斉射撃で中国兵を撃ち殺
し、その後戦車を上陸させて生き残った兵隊たち
を死体も含めて戦車でローラーをかけて轢き殺し
てしまった。
・その映像を見て北京は、その分野では今後アメリ
カに頼るしかないと判断したという。
・それ以前、毛沢東はソビエトに媚びていたが、時
の経過とともに二つの国の関係は変わっていた。
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〇 ロッキード事件と三木武夫
これはえらいことになったとなと俺は思った。
三木というのはおよそ実務に関わりの薄い、いうこ
とやることすべて観念的な奴で、女房が森コンツェ
ルンの出だから金に関しても何の苦労もせずにこら
れた男で、すべて世間の風潮に迎合するところがあ
り、誰がつけたのかバルカン政治家という名にふさ
わしいところがった。
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〇 ロッキード事件と選挙
「皆には迷惑をかけてすまなかった。
しかしこれは間違いなく仕掛けられた罠だ。裁判の
手続きや検察のいい分はこの国では筋の通らぬこと
ばかりだ。
だからこれからの裁判では必ず勝つ。推論で人に罪
をかぶせるようなことは絶対に許さん。
(中略)
俺は強くいい渡した。
この状況で沈黙する訳にはいかず簡単な声明を出し
た。
「判決は極めて遺憾なものだが、生きている限り国
会議員としての職責を遂行するつもりである」と。
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〇 5億という金と総額300億の金
・俺が調達した選挙費用の中では5億ははした金だ
・この国をもっとしっかりした、アメリカにもどこ
にも気兼ねしたり頼ったりせずに、本当に自分の
意思で自分の足で立って今まで以上に大きな歩幅
で歩いていけるように仕立て直すための必要経費
だ。
・それがおよそ300億くらいなものだったと思う
・榎本が受け取った5億という金は、丸紅の献金か
ロッキード社からのものか、あるいは児玉からの
分け前なのか分かりもせぬまま、大切な選挙のた
めに俺の事務所に入れられ、他の多額の金にまぎ
れて佐藤がてきぱきさばいたことに違いはない。
・要はあちこち手を尽くして選挙の為に集め用意し
たおよそ300億という金の中の、ただの5億と
いう金の由来が問われたということなのだ。
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〇 長い後書き (石原慎太郎)
・田中角栄という政治家が造成したもの
テレビというメディア
高速道路の整備
新幹線の延長配備
各県一つずつの空港促進
未来エネルギーとしての原子力推進
アメリカ傘下のメジャーに依存しない資源外交
・そのために彼はアメリカという支配者の虎の尾
を踏み付けて彼らの怒りを買い、虚構に満ちた
裁判で失脚に追い込まれた。
アメリカとの交渉で示した姿勢が明かすものは
彼が紛れもない愛国者だったということ。
・佐藤栄作にしろ、福田赳夫にせよ、田中角栄ほ
どの異形な存在感などありはしなかった。
・いずれにせよ、私たちは田中角栄という未曽有
の天才をアメリカという私たちの年来の支配者
の策謀で失ってしまったのだ。
歴史への回顧に、もしもという言葉は禁句だと
しても、無慈悲に奪われてしまった田中角栄と
いう天才の人生は、この国にとって実は掛け替
えのないものだったということを改めて知るこ
とは、決して意味のないことではありはしまい
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あの石原慎太郎が、田中角栄になってこのような
「一人称小説」「独白」を書くとは。
読んでいて少なからぬ驚きでした。
また、実際の田中角栄の感性と石原慎太郎のそれ
がミックスされてしまったような部分もあるよう
に私には感じられました。
しかし、いずれにせよ田中角栄が天才であり、そ
してアメリカによって失脚させられたというのは
事実に違いないと私も思います。
日本がアメリカから本当に独立できる日はなかな
か来ないのかもしれません。
もっとも、その場合、中国やソ連、その他の国々
との関係がどうなるか、それはそれで難しい問題
ではないでしょうか。
長期政権が約束されているような中国の習近平と
ロシアのプーチン。
統一に向けて動き出してるらしい朝鮮半島はどう
も金正恩の方が韓国の大統領より役者が上のよう
な。
そしていつまで続くか分からないが、これも強い
個性で強かなトランプ。
そんな中、日本の宰相は明らかに小者で他に代わ
りが見当たらない。
代わっても、米中ソ、そして北朝鮮にすら見劣り
する。(韓国だけはさにあらずと思いますが)
今こそ、田中角栄のような政治家がいたら・・・
それはそれでまたまた潰されるのでしょうか?
米中と力の論理で張り合っても厳しいのは理の
当然です。
孫子の兵法の原則がそのまま当てはまります。
日本は「商人国家」でしか生き残れないのか。
「負けて勝つ」とかいうどこか屈折した屁理屈か
あるいはもしかしたら日本にしかできない高等戦術
で強かに生き抜くしかないのか。
このままで本当に大丈夫なのか。
私は複雑な思いです。
福島さんは田中角栄が好きですか、嫌い
ですか。どうでもいいですか。
彼のような政治家が、将来再び誕生するようなこ
とがあると思われますか。
またはそれを望みますか。
ご意見をお聞かせいただければ嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
福島さんの幸運な日々を祈念します。
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